top of page

化学的に裏付けされた○○の香りを嗅ぐだけダイエット

テレビや雑誌などで見かける様々なダイエット法。食事法や運動など色々と試してはみるものの、面倒になってしまったり、ストレスを感じてやめてしまうことも多いのでは?そんな方でも[嗅ぐだけ]なら続けられそうな気がしませんか?本当に嗅ぐだけで痩せられるの?そのメカニズムについてご紹介します。


いつの時代も女性にとっての大きな関心事である「ダイエット」 定番のものから話題性のあるものまで、巷には本当にたくさんのダイエット法があふれています。

私は毎年、夏前になると〝今年こそは!”と、様々なダイエット法をチェックしています。 しかし、色々と試してはみるものの、面倒になってしまったり、ストレスを感じて継続できずにやめてばかりでした。

そんな私でも唯一続けているのが、香りを嗅ぐだけのダイエット。 ダイエットにご興味がある方は、すぐに「グレープフルーツ」の香りとピンときたのでは? でも、本当に嗅ぐだけで痩せられるの?と、半信半疑の方も多いかと思います。 今回は、香りを嗅いで痩せる、そのメカニズムについてご紹介します。


名前の由来


爽やかな甘酸っぱさが人気のグレープフルーツ。 1本の枝に対してぶどうの房のように実をつけるため、「グレープ」という名前が付けられました。 別名アメリカンフルーツと言われるほど、アメリカの朝食には欠かせないフルーツです。 原産地は西インド諸島で、18世紀前半に発見されたと言われています。 19世紀にアメリカのフロリダに伝わり、日本へは大正初期に伝わりましたが、気候が合わず、栽培普及はしませんでした。 当時は高級フルーツでしたが、1971年に輸入が自由化され、一般家庭でも手軽に食べられるようになりました。


ダイエット効果のある香りとして有名になったきっかけ


2002年に資生堂がグレープフルーツの香りを嗅ぐことによって、交感神経を活性化させ、中性脂肪を燃焼させるタンパク質「UCP(uncoupling protein:脱共役タンパク質)」の発現を高めるという新スリミング理論(UCP理論)を確立したことでダイエットに効果のある香りとして有名になりました。

更に研究した結果、芳香成分に脂肪細胞内で中性脂肪細胞合成に関与している酵素の活性を抑える働きがあることを確認し、このことから中性脂肪の蓄積を抑えることが明らかとなりました。


ダイエットの鍵となるUCP


人間の体内には「UCP」という中性脂肪を燃焼させるたんぱく質があります。 グレープフルーツの香りを嗅ぐと、脂肪内にUCPが多く現れ、中性脂肪がよりよく燃焼されます。

痩せるためには、中性脂肪が「分解」されて遊離脂肪酸となり、さらにその遊離脂肪酸が「燃焼」されてエネルギーとして消費されることが必要です。 「分解」されても「燃焼」されないままだと、再び中性脂肪に後戻りしてしまい、皮下の脂肪細胞に蓄えられてしまうからです。

それまでのスリミング製品には、脂肪を「分解」する成分は配合されていましたが、「燃焼」させるためには運動することが必要でした。

しかし、血中の遊離脂肪酸は、エネルギーとして消費(燃焼)されないと、そのまま中性脂肪に再合成されますが、UCPがあれば、運動をしなくても消費(燃焼)が可能だと分かったのです。

「新スリミング理論」のキーとなる物質が、UCPという体内物質です。 UCPとは、Uncoupling protein = カップリングされていないタンパク質、専門用語では「脱共役タンパク質」と言います。

UCPは、ミトコンドリアの内膜に存在するタンパク質で、脂肪燃焼を促進する働きがあります。 そのミトコンドリアは、食事によって獲得した糖質・脂肪などの栄養素、呼吸によって取り入れた酸素を合成して「ATP」を生成します。

しかし、UCPは糖分をATP合成には利用せず、熱エネルギーへと変換します。 たくさん食べても太らない人は、一般にUCPをたくさん持っている人と言われています。 つまり、UCPを活性化させれば、運動なしに脂肪を燃焼させることができるのではないかという考えがベースにあるのです。


UCPを多く発現させるには


具体的には、香りを嗅ぐことで交感神経が活性化され、ノルアドレナリンの分泌が促進されます。 それと同時に、中性脂肪の分解を促進するカフェインが皮膚から浸透しやすくなります。 この2つの相乗効果で皮下の白色脂肪細胞内にてUCPが多く現れて、中性脂肪が燃焼されるます。 つまり、香りを使って交感神経を活性化するというところに、香りのダイエット効果があると考えられます。


塗布してもスリミング効果があることを発見


資生堂は、グレープフルーツの香料成分に、脂肪細胞に直接作用して中性脂肪の蓄積を抑える効果があることを見出しました。

香料の効用は大きく分けて以下の2つがあると考えられています。 ①香りが嗅覚を刺激することによって生じる心理・生理的効果(アロマコロジー効果) ②香料成分を塗布することなどにより、肌に直接働きかけて作用する薬理的効果(アロマテラピー効果)

太ってボディーラインが崩れるのは、脂肪細胞の大半を占める白色脂肪細胞の数や細胞中に貯蔵されている中性脂肪量が増えるためです。 白色脂肪細胞に貯蔵されている中性脂肪はグルコースやリポタンパク質などから合成されますが、運動などによって脂肪は分解されて遊離脂肪酸となり、エネルギー源として燃焼、消費されます。


植物由来の精油を中心に30 種類以上の香料について、細胞培養実験系を用いて皮下脂肪細胞への影響を調べた結果、グレープフルーツ香料を添加して培養した細胞群では、香料を添加しなかった対照群に比べて有意に細胞中に蓄積される中性脂肪が減少することを見出しました。 さらに作用メカニズムについて研究した結果、グレープフルーツの香料には脂肪細胞内で中性脂肪合成に関与している酵素の活性を抑える働きがあることを確認しました。 このことから、グレープフルーツ香料が脂肪細胞に作用し、中性脂肪の蓄積を抑えることが明らかとなりました。


グレープフルーツの香りで食欲を抑えて体重を減らす


グレープフルーツの香りを嗅ぐと、交感神経が活発に働き、体内脂肪の分解が進んで痩せることができ、ラベンダーの香りは、副交感神経の働きを促して体重を増加させる作用があることが、大阪大蛋白質研究所長の永井克也教授(生化学)と新島旭・新潟大名誉教授(生理学)らのラットを使った研究で分かりました。

永井教授らは、ラットの腹部の交感神経に電極をつけ、脳から伝わる信号の変化を調べました。 グレープフルーツの香りを10分間嗅がせると、すぐに神経活動が増加し始め、1時間後には信号が2倍以上に増えました。

また、ラット5匹に週3回、グレープフルーツの香りを嗅がせる実験も行いました。 成長に伴い、平均約250グラムだった体重が6週間後には約400グラムになりましたが、香りを嗅がせなかったラット5匹と比べて、約20グラム軽かったそうです。 食事量は約7割に減り、食欲を減らす効果も判明しています。 一方、ラベンダーの香りを嗅がせたラット5匹の体重は平均で約20グラム重くなりました。

交感神経を興奮させるグレープフルーツ精油の匂い刺激は、脂肪分解と熱産生を促進し、食欲を抑制して肥満形成を抑制し、体重減少を引き起こす作用を持ちます。 一方、交感神経を抑制するラベンダー精油の匂い刺激は、脂肪分解と熱産生を抑制し、食欲を亢進させて肥満形成を促進し、体重増加を引き起こす作用を持つことなどが実験から見出されました。


これらの効果はヒトでも有効であるかどうかの実験も行われています。 実験では、半分に切った生のグレープフルーツの匂いを30分間嗅ぐと、赤外線サーモグラフィー測定によるヒトの背中の体表面温度は、匂い刺激開始90分後に2~3℃上昇しました。 また匂いを嗅いだ当人達は、身体中がポカポカしたと表現したそうです。 このことは同様の機構がヒトにも存在することを示唆していると考えられます。


無理なく心地よく香りを取り入れる


肥満者は、交感神経活動が低いと考えられていますが、グレープフルーツの匂い刺激効果は、交感神経を興奮させて肥満を抑制する可能性があることが分かっています。

グレープフルーツの香りは、一瞬で気分を爽やかにし、前向きな気持ちにさせてくれます。 ストレスケアや気分転換に何気なく使用しているだけででも、幸せな気分になり、よりアクティブに動きたくなるようにも思います。

ちなみに、匂いの刺激効果には体内時計が関係しており、2010年に「グレープフルーツ精油の刺激で起こる体表面温度の上昇は、午前中は認められず、午後5時以降に実験すると認められた」との発表がありました。

夕方の犬の散歩や、仕事終わりなどに香りを取り入れて、軽やかに歩いたり、積極的に階段を利用したりすることで、より効果が実感できそうですね。

bottom of page