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僧侶「三浦性暁」による役に立つ法話 『お盆』〜歓喜会〜

都会の駆け込み寺『寺カフェ代官山』。仏様の智慧をヒントに共に悩み、語ることで心の安らぎを共にしたいと願う、お坊さんのお話をお届けします。今回は“お盆“について。そういえばお盆って本当はどんな意味の日なのでしょう。

『お盆』〜歓喜会(かんぎえ)〜

一般に12月を『師走(しわす)』といい、お坊さんが忙しく走り回る月と言われていますが、実際には7月、8月のお盆の時期が、最も忙しい月と言っても過言ではありません。

なぜかと言うと、先立たれた有縁の方々をしのびつつ、お墓や仏壇に夏野菜のキュウリやナスをお供えし、仏さまのご恩に感謝するため、お坊さんを自宅に招くことが多いからです。

私はこの時期、1日に20〜30軒以上の家にお参りします。

暑い時期ですから、読経中は汗が額から滴り落ちます。 それをタオルで拭いながらも、白衣の下はビショビショです。

とくに昨今の暑さは尋常ではなく、水分補給は欠かせませんが、一軒ごとにお茶を勧められてもお腹を壊すといけないので、断りにくいのですが全てを飲むわけにもいきません。

また、夕刻には激しい夕立で足止めに遭うこともあります。

首を長くして待っていただく施主様のことを想いつつも、恨めしく天を見上げながら待つしかないときもあります。

なぜなら、ずぶ濡れの足袋で、仏間に上がるわけにはいかないからです。

そんな時、心静かに読経をしたいと思う心とは裏腹に、ただただお参りをこなすことに躍起になっている自分自身に、嫌気がさすこともあります。

しかし施主様は、どんなに待たされてもにこやかに迎え入れ、どんなに慌ただしく読経しても温かく見送ってくださいます。

お盆は、お坊さんにとって慌ただしい時に違いありませんが、人々の持つ素朴なやさしさに出遇う安らぎの時でもあるのです。

宗派によって、また場所によってお盆の迎え方に違いはありますが、先祖を敬い、先立たれた有縁の人びとのご恩に感謝する気持ちは皆同じでしょう。

また、お盆は、眼に見えない仏様の不思議なはたらきを感じ取る大切なご縁でもあります。

浄土真宗では、すべての人が阿弥陀さまの願いによって、地獄や餓鬼道に堕ちることなく、悉く仏の国に生まれることができると説きます。

だから、亡きお方々はお盆の時にだけ帰ってくるのではなく、いつも帰り来たって私たちを見守ってくださる仏さまとなったことを喜び、その不思議な恩恵に感謝する意味で、『歓喜会(かんぎえ)』とも呼んでいます。

南無阿弥陀仏


三浦性暁 みうらしょうきょう

僧侶となって46年、寺院住職23年の経験、また、布教使として30数年の全国での講演活動の実践と学びをもとに、都市開教に取り組んでいます。


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