スタディーセッション『笑顔で介護』中編

スローエイジング編集部発足のスタディーセッション。今回はスローエイジング世代の方々なら一度は考えことがあるはず『介護』についてです。 自分の人生に「介護する」時期がくる人も、こない人も。もしも介護することになったら・・・?そんな万が一に備えて学びます。

『巣立つ子供と違い、介護は送ること。どんなに一生懸命頑張っても後悔は必ず残ります。

だから毎日が花マルじゃなくていい、とんとんでいいんですよ。壮絶だなんて思われるけど、介護って意外と楽しめるよ』

こう仰るのは日本占術協会 会長 福田有宵先生「有宵会」所属、現代養生食介護食アドバイザ−でもある黒江真帆先生。認知症のお母様と過ごされた13年間の介護生活の経験を交えて、お話ししていただきました。



皆様も、ご存知のことと思いますが、現在日本は“少子超高齢社会”に突入しております。高齢化~高齢社会~そして、高齢者の人口比率が21%を超えると超高齢社会です。

この現象は猛スピードと言え、日本は世界1位になりました!残念ながら行政は、この推移を予測出来なかったように私は思えてなりません。


〈介護保険制度〉


この制度は、ここにお集りの方々は自分には無関係と感じていらっしゃるかと思いますが、40歳を迎えると介護保険料を支払いしなければならないと言う義務が生じます。

当然40歳を過ぎていれば、この制度に適応すれば活用できますので高齢者のみの制度では決してありません。


介護保険制度がスタートしたのは2000年です。ただし個人的意見かもしれませんが、日本のケースを見ているとヨーロッパ諸国を参考にした制度も残念ながら見切りスタートだったように感じてなりません。


行政自体が運営する事が、本来あるべき形なのかもしれません。日本は、各自治体へ任せるとともに民間企業の参入という形態で施行しました。もちろん様々な業態での経済活性化には貢献したと言えますが。


この制度は3年ごとに見直しされ現状に沿うよう改正されます。


スタート当初は、寝たきりの方に焦点を当てられ“介護認定“も高齢者に優しい広き門だったと言えます。ところが財政が困難になってきた現在は、認定さえも以前より厳しくなってきました。


やはり机の上でのディスカッションから出来上がった制度なのか、現場の痒い所に手が届く事は難しいのかもしれません…。


今は、マスメディアでも取り上げられている認知症が最も重要課題となりました。

もしも、どなたかに相談を受ける事態になった場合に何らかの提案が出来るようなお話を本日はお伝えしたいと思っております。


今回のテーマである「介護」ですが、人のお世話をする時の言葉で、介抱・看病・看護・介護などがありますよね。


介抱はどちらかと言えば、自宅にて風邪や二日酔いなどの一過性の場合に用いられます。

看病・看護→医療機関で医療行為=医療保険が適用される事が多い 。


では、介護とは福祉の分野に深く関係し、医療保険の他に介護保険が適用されるという事が大きく異なると言えます。


介護についてのお話しをする前に、ご高齢者についてお伝えしておきたいと思います。



私は今では珍しい4世代同居の環境で育ちました。しかし今の若い方々には、お年寄りとどう接したら良いのか分からないと言う声を聞く事があります。若い方の意見を聞くと、当然かもしれませんが…お年寄りの年代はマチマチでした。

〈個人差が大きい〉

成長期のお子さんの場合は、ある程度マニュアルがありますよね。

例えば、離乳食の開始時期などは食事面では代表的とも言えるでしょう。しかし、ご高齢者の場合は平均値と言えるものがありません!


例えるのならば、60歳で脳梗塞を発症したとしたら如何でしょう?


後遺症から運動機能の低下・身の回りの事も食事面さえ通常食を食べられない場合もあるでしょう。また、口腔内環境も著しく異なり早い内から義歯(入れ歯)の影響から不便を感じている方も多いと思います。

持病により食事制限を強いられている場合も好きなモノを口に出来ない場合もありますよね。もちろん反対に、足腰も達者で90歳でも外食に行かれている方もいらっしゃいます。


行政では65歳以上は前期高齢者と括っていますが、これはあくまでも統計上からです。

見た目に限らない場合も含め、ご高齢者には個人差が大きい!と、言う事を心に留めて置いてくださいね。

〈子供扱いはNGです〉

出来ない事ができてゆくのが子供の成長期であるならば、スムーズに出来ていた事が歳を重ねる内に少しずつ出来なくなってゆくのがご高齢者です。

筋肉の低下を始め、眼や耳が遠くなるのも加齢の自然現象と思います。


よく見かけるシーンに、お年寄りの耳元で大きな声で話しかけているのを、皆さんも見かけた事があると思います。

その際、何故だか子供に話しかける様な言葉使いを耳にします。

もしかしたら耳は遠い訳ではなく話している言葉が早口で解らないのかもしれませんし、また軽度認知症の為に内容自体が意味不明だったら…。


どちらにしても自分達よりも年齢も経験値もあるご高齢者への子供扱いするのは、私は良い事だとは思いません。やはりお年寄りには尊敬の念を持って接して頂きたいと考えています。


〈失われてゆく年代〉

本日お集りの方々、もちろん私も“高齢になった”という経験値は当然ですがありません。


団塊の世代の介護時代の頃には多少変化するのかもしれませんが、現在のご高齢者の中には戦争経験者の方々もいらっしゃいます。私の母も「もったいない!」という言葉をよく口にしていました…。

経験値とともに社会背景からくる価値観も、今とは全く異なっています。

介護の現場の中では、戦争で配偶者の方を亡くした方も居られるし両親や友人の場合もあるでしょう。

年齢を重ねるという事は仕事や家事・家族や友人・健康さえも“失われてゆく年代”であると言う、もしかしたら日々の中でジレンマとの格闘かもしれません。


そんな事も忘れないで欲しい…と、4世代の中で加齢を実際身近に肌で感じてきた私は思えてなりません。


〈非言語メッセージの重要性〉


これは認知症以外の心理カウンセリングの現場でも学んだ事ですが。

私達は通常は“共通言語”でコミュニケーションをとっていますよね。ところが、この共通言語でさえも実は伝わる言葉は、およそ7%とかなり低い数字に驚きませんか?


では“非言語メッセージ”とは、身振り手振り・言葉の強弱等々が加わったとしたら…それでも全体の55%位と言われています。こんなにも理解されていない、互いに自分の立場に置き換えて“言葉”というツールを感じ取っている訳ですので、勘違いはあるものなんですね。


ご高齢者とコミュニケーションする場合は、必ず目線の高さ(例えば、車椅子ならしゃがんで)を合わす事が=お話しを聞くという態勢となりますので大切です。沢山の言葉でコミュニケーションが取れているとは思い込まず、むしろ少なく解り易い言葉選びも大事です。お相手にプレゼントを手渡すが如く言葉を物の様に扱いましょう!と、学んだ時を思い出します。


〈傾聴が大切〉

この“傾聴の技法”は精神科の先生も活用なさっていらっしゃるようですが。

介護の現場では、混乱してしまった高齢者の方に落ち着いて頂くために用いると言っていいかもしれません。


その技法とは先ず→アイコンタクト・次に→うなずき・そして→あいづちです。


共感=自分を受け入れてくれた!という気持ちから次第に心を開いてくれる傾向につながります。

この傾聴の技法そして非言語メッセージの重要性は、何もご高齢者に限りませんよねぇ。


ついついメールで済ませてしまいがちの現代社会に於いて、言葉での交流が希薄の今だからこそ言葉を持ち・言葉を伝え・心を交わす大切さを考えなくてはいけないのかもしれませんね!

相手が友人でも仕事関係でも全ての場面で、言葉の表情を感じ取り、相手の心に寄り添うことは大切な事ですよね!


《介護とは》

今回は、ここでは介護食の作り方・認知症の介護・介護のHowToについてのお話しは致しませんが…。たぶん漠然と耳にする“介護”って一体何?今回は食べる事に関する内容から抜粋させて頂きました。


介護の定義

介護の定義→介護とは、自分の努力によって“日常生活動作”が行えない場合に手伝うことであり、その人の生活を健康的で快適でかつ安全にすること、と言えます。


私達の生活は動作の連続と言えます。例えば、朝起きて~洗面をし~着替えをし~食事をとり~お手洗いにもいくでしょう。この一連の動作を“日常生活動作”と言います。

この一部分または全てにおいて自分だけでは行えない場合に介護を要す!と言われています。


介護の目的

 

介護の目的→その人の自立と生活の質の向上または維持、です。



介護の種類

 

介護の種類→介助:主に“手”による介護

      指導:“口”による介護

      見守り:“目”による介護


の大きく3つに分けられます。


私は、指導という言葉が余り好きではないので助言と言っております。

食事介助(通称は食介)の場合の例を挙げれば、この3つの介護は同時に行わなければなりません。「お食事ですよぉ」と声掛けをして行動意識を持っていき誘導~スプーンを握って頂いたり食べる準備を手で行い~一番大事な事は、嚥下(飲み込むこと)をきちんとしたかを何気なく見届けなくてはなりません。


もちろん車椅子への介助・寝たきりの方の場合は体位交換・口腔ケア・着替え・お手洗い等々…介護と一口に言っても種々ですよね。


食べるメカニズム



既にご存知の方々ですが、今私達は考える事もなく食事を味わい楽しんでいます。


食事=食べる事には、どんな順番があったか思い出してください。


食べ物だという“認知期”があり(唾液の分泌開始)


“準備期”は咀嚼期とも言われ、噛んだモノを食塊形成し飲み込み易くし嚥下までです。


“口腔期”とは、咽頭(のど)へ送り込まれます、嚥下反射後は本人でも意識できません。

飲み込むタイミングは本人次第なので無理は禁物です。


“咽頭期”とは反射運動によって食塊が喉から食道へと送り込まれる過程です。

コントロールは不可と言え、息を止めるのがNGだとムセにつながります。

“食道期”食道の蠕動運動と重力の作用で胃へと送り込まれる過程です。

以上が、口からの摂取の流れですが…。

ご高齢者の場合は、口腔内の環境も個人差が大きく、その人に合った献立や調理方法が必要となるのは言うまでもありませんよね。

準備期や咀嚼期では、噛む力は成人の頃に比べて3分の1程度に低下し味を感じる味覚も2分の1に減少すると言われています。


唾液の存在が大事

味を感じるセンサーは舌にある“味蕾”で感じる訳ですが、表面に存在する味蕾の細胞は個人差がありますが6000個とも言われています。

味蕾が正常に働く為には“唾液の存在”により溶け込む事で味を感じます。その唾液の量もご高齢になると減少してしまいます。この原因は他にもあり、薬による副作用から低下してしまうこともあります。


食べるメカニズムでも、唾液の存在は全てに関係しています。例えば、食塊を作るにも水分が不足するとスムーズに出来ないでしょう!

唾液の低下を予防する食事前の口腔体操などもありますが、舌も筋肉なので起きて直ぐ食

べる事は唾液量も少なく得策ではありません。

食事時間の少し前からお茶など飲みながら、おしゃべりしたりすると良いでしょう。またムセ込みが無い場合、酢の物は唾液を誘発する効果があります。

何よりも義歯でもよく噛む事で唾液量の低下を防ぎ、食事をゆっくり楽しむ事で味わう事にも繋がり相乗効果です!


味は脳で味わっている

唾液が滲みこみ味蕾も正常に働き、私たちは味を感じています。でも、味は口で感じている訳ではありません!


だとしたら心は正常でも脳に障害がある場合は?認知症を発症した場合はどうでしょう?


私の体験上ですが、やはり味に対しては残念ながら鈍化してしまうと感じました。認知症と食事に関する具体的な事には今日は余り触れませんが…。

認知症の場合は、先ず食事=食べ物と言う“準備期”の段階から様々な問題が生じます。味もですが、安全に食べる事が大切でその為には、何よりも手で触れる場合を想定して熱いモノには気を付けてくださいね。


口腔摂取の重要性

平均的な数値ですが…1回に飲み込む唾液の量は→大体1.5~2mlです。

そして飲み込む時間は→0.5~1秒と言われています。


例えば、1日1000~1500Cal+水分量1000~1300mlであるならば=1日の嚥下回数は約600回になります。


寝たきりの方への食事介助は、やはり誤嚥性肺炎の危険につながり易いので点滴或いは“胃瘻”で摂取カロリーを賄っている方もいらっしゃいます。もちろん在宅での介護は本当に大変でした…。


でも私は“口腔摂取”に最後まで拘っていたように思います…。


口に食べ物が入り噛む事で唾液もですが、消化液へのサインになると聞いた事があります。

また、食べる事で顔はもちろんですが~胸筋~背筋にも好影響です。この様に“口腔摂取”は全身へのプラスの連鎖になるので、頑張らず少しずつでも維持していってくださいね。


介護食作りは想像力

ご高齢の方への献立は、咀嚼しやすい軟らかい物の方が無難と言えます。

ただ個人差とともに大きいのが日々の体調の変化です!


昨日は食欲があったからと毎日続きな訳ではありません。昨日食べ過ぎたから今日は便秘気味になる場合もあります。そんな時は、本人に合わせた気まま食がお勧めです。

白米とおかず→お雑炊にしたり、意外とおにぎりにしておくのも好評でした。どうしてもコレでなくてはダメというのではなく潔い“想像力”と適応力が大切です。

自分の口の中に口内炎が出来た事を想像してみてください。そんな状態の時に口にした

いモノは→やはり、口当たりや喉越しの良いモノですよね。その意味においても介護食は“想像力”が大事!


お年寄りの介護食と言えば、ペースト状や刻み食のイメージが多いと思いますが。その日の状態や気分によっては、例えば水分量が多く柔らかい大き目の大根の方が食べやすい事もあります。もちろん、咀嚼と嚥下の状態にも依りますが。


変化を想定して献立の段階で、あとで二度手間にならない様に使用する野菜を全て蒸しておく・お魚やお肉も細かくなる食材の選択にしておけば臨機応変に対応出来ますので大丈夫ですよ。


次回は介護する人、される人のQOL(生活の質)とは?黒江先生の13年間の介護生活で感じたことをお伝えしていきます。

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