僧侶「三浦性暁」による役に立つ法話 『あれもこれも』〜少欲知足(しょうよくちそく)〜

都会の駆け込み寺『寺カフェ代官山』。仏様の智慧をヒントに共に悩み、語ることで心の安らぎを共にしたいと願う、お坊さんのお話をお届けします。今回は『あれもこれも』〜少欲知足(しょうよくちそく)〜です。

『あれもこれも』〜少欲知足(しょうよくちそく)〜


いよいよ12月「師走(しわす)」となりました。

イルミネーション、忘年会、パーティーなどのイベントが押し寄せ、ジングルベルが街に流れ、年末商戦の中の「クリスマス」、大晦日は「除夜の鐘」(寺院)、正月は「初詣」(神社)。

「あれも手に入れたい、これもやってみたい、あそこにも行ってみたい」年の瀬です。

一説によるとこの師走は、僧侶が走り回る時期とありますが、現代では僧侶より世間の人々が忙しいようです。

私たちの欲望には際限がなく、あれも手に入れこれも手に入れてきた歳月であったと言えるでしょう。


しかし、手に余る物を所有しながら、未だ満足は得られないでいます。

だからこそ、またまたあれもこれもと手を伸ばしてしまいます。 また、不必要な物まで抱きかかえ、その処分も出来ずに悩んでいます。


「欲」を振り回すと苦(リスク)が伴うというのが仏の教えです。


欲を捨てれば楽になるということです。

それほど難しいことを言っているのではありません。 しかし、その欲を捨て去ることは簡単なことではありません。

そこで、仏教では『少欲知足(しょうよくちそく)』、少ない欲で足ることを知るということを説きます。

例えば、20万円30万円もするブランドバッグが欲しいとなると、それなりのリスクが伴います。 積み立て貯金をするとか、ローンを組むとか、手に入らないとなると苦しみが生まれます。

しかし、1万円のバッグで辛抱すれば、少なくともそのリスクは少なくて済みます。

「あれもこれも」が私たちの常ですが、全てを手に入れることは出来ませんし、たとえ手に入れても満足もできないのです。それほど意識しているわけではないのでしょうが、「クリスマス」はキリスト教、「除夜の鐘」は仏教、「鳥居をくぐる初詣」は神道という宗教的背景があります。

宗教の上においても、あれもこれもと追い求めている姿が、年末年始にあらわになります。

どの宗教が善いとか悪いとか、優劣をつけることはできませんが、どの宗教においても「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」を説きます。

慌ただしい年末年始だからこそ、少し立ち止まって、私にとって何が本当に大事なのか、重要なのか、必要なのかを問うことが大切なような気がします。

「あれも手に入れたい、これもやってみたい」も良いですが、お寺で「あれか、これか」を考える一年にしてみてはいかがでしょうか。

合掌


三浦性暁 みうらしょうきょう

僧侶となって46年、寺院住職23年の経験、また、布教使として30数年の全国での講演活動の実践と学びをもとに、都市開教に取り組んでいます。


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